導入事例インタビュー
NOIZの創造性を支えるために。高性能PCのリモート操作で、多様な働き方の実現へ。
NOIZ
2025年の開催を控える2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の設計にも携わるNOIZ。同社は、東京と台北に拠点を置き、通常の設計業務だけではなく、アルゴリズムやデジタル技術に関わる最新の技術や発想を積極的に取り入れ、新たな建築やデザインの形を追求する建築設計事務所です。Splashtopの導入をきっかけに、業務の効率化だけではなく、エコの視点からの電力削減、そして多様な働き方を実現したそうです。
今回は、同社のスタッフの皆様に、導入までの経緯から実際の使用感、働き方の変化や今後の展望をお伺いしました。
まずはNOIZパートナーの酒井康介氏とアーキテクト兼システムマネージャーの菰池拓真氏のインタビューです。
NOIZ パートナー 酒井 康介氏
アーキテクト兼システムマネージャー 菰池 拓真 氏
目次
酒井 康介 氏 菰池 拓真 氏
安藤 寿孝 氏 笹村 佳央氏 Ines Amine 氏
リモートワークとハイスペックPCの課題解決Splashtop導入までの経緯は?
NOIZの事業概要を教えてください。
酒井氏:弊社は、建築を軸にして内装や展示、インスタレーションあるいは都市計画まで幅広く手がけている事務所です。最近手がけている物件としては、大阪万博の落合陽一テーマ事業プロデューサーが手がけるシグネチャーパビリオン「null2」の設計を担当させていただいています。
基本的には建築の設計で住宅や集合住宅、商業施設やオフィスのインテリアを担当し、それ以外にも展示などのインスタレーションも手がけることがあります。
菰池氏:私の場合、インスタレーションなどのデジタル技術を活用した展示も事務所内では比較的多いと思います。その他には、システムのちょっとした管理を行っています。
Splashtop導入の経緯は?
酒井氏:当然、コロナの影響もあり、全社的にリモートで働くという環境を構築する必要がありました。弊社は「デジタルとコンピュテーショナルデザイン」と言っておりますが、そういった新しいデジタル環境と物理空間をどのように結びつけるかというテーマで設計しているため、非常にハイスペックなPCを使うことが重要な業態・業務になっています。もちろん、事務所のデスクトップPCを使いたいというニーズも非常に高くなります。
そこで、Splashtopでリモート環境を構築することで、家からロースペックPCや普通のラップトップのようなものからでも、事務所のPCにアクセスしてレンダリングや3Dソフトなどを動かせるという利点があるというところで導入に至りました。
小規模でも扱いやすく、UIが快適!CADの特殊操作に対応できることも魅力でした。
リモートツール選定のポイントを教えてください。
菰池氏:私はコロナ後の入社ではあったので、既に導入されていたものを引き継いで管理をさせていただいています。弊社は、事務所として、そこまで大きな規模ではないので、小さい範囲で管理できる簡易的なツールとしてSplashtopなども使いやすいのかなと思いました。
酒井氏:結果的に、Splashtopを非常に使わせていただいています。以前は、他社のリモートツールも使っていましたが、やはりスプラッシュトップのUIなどが非常に弊社の使い方に合っているので採用させていただきました。
菰池氏:SplashtopのUIは、他社ツールと比較してリモートツールという機能にきちんと絞られて設計されている点で却って余分な機能がなく、各スタッフに対して使用の説明をする時にも説明コストがかなり低く誰がみても使いやすいというのは 1つポイントになっていると思います。管理面でも言うと、実際にどのパソコンが動いているかをモニタリングしやすい点もポイントになっていると思います。
ユーザー目線だと、自分のローカルの環境からSplashtop側に対してもデータの転送が可能なところや、CADツールだと、ホイールの押し込みなどのマウスの特殊な操作が必要になる場面もあるのですが、そういった動きも一通り受け付けてくれるという点も、無償ツール等と比較する時のアドバンテージになっていると思います。
酒井氏:私自身も京都のプロジェクトを担当しています。建築の設計では、現場で打ち合わせするということがよくあるのですが、どうしても予め全て検討し尽くすということは出来ません。しかし、Splashtopを使えば、現場で小さなラップトップPCから事務所のPCにリモート接続して、実際に検討中のモデルを動かしながら、その場で物事を決めていくことがWi-Fi環境さえあればできるので、非常に重宝させていただきました。
管理者視点の使用感はいかがですか?
菰池氏:基本的にメールアドレスと紐付けて運用しているので、新しくパスワードを発行するなどの手間が比較的に少ないので、管理する側としては楽なのかなと感じます。
酒井氏:新しく入ったスタッフも含めて、普段からみんな普通に使っています。そういう意味では、管理者側にほとんど負担は感じさせないかなと思います。
リモートでPCをオン/オフできるから、環境と電気代削減を目指し、電力節減にチャレンジ!
Splashtopを導入したメリットはありましたか。
菰池氏:ここ数カ月から半年くらいの話ですが、電気代がちょっと上がったということで、社内のセキュリティを調整して、Splashtopの遠隔起動の機能を可能にしました。高性能のPCを使用していると、やはり待機時も電力がかかってしまいます。そこで、Splashtopは遠隔起動まで1つのパッケージにまとまっているので、最近の運用面としては 電気代の削減というところでも活用しています。
酒井氏:今までは、事務所のPCを本当に24時間つけっぱなしの状態でした。そのおかげで、休日中もいつでもアクセスできるという環境ではありましたが、昨今の電気代の高騰で やはり見直した方がいいというだけではなく、当然、地球環境への影響もありますので、その辺りの変革が可能だということで、電気代を減らすなどそういった実用的な面でも活用させていただいているところです。
また、先日、弊社にも遅れてきたコロナのクラスターが起こり、事務所を1週間ほど閉鎖していたのですが、その環境でも、もちろんSplashtopで事務所のPCにアクセスして業務は続けることができました。
現在の利用状況を教えてください。
酒井氏:普段のリモートワーク率は5割ぐらいで、「午前中出社して、午後はリモート」といった働き方もありますし、そこはスタッフの裁量に任せてやってもらっているという形です。
例えば、現場に行かないといけない時に、事務所に来て資料を持っていくというのが省けるじゃないですか。「午前中は自宅で作業して、午後は現場に行く」などの仕事の仕方も可能になるので、すごく多様な働き方ができていると思います。
菰池氏:やや変わった使い方にはなりますが、インスタレーションという業務をする時にPCをモノに仕込んで、それをもう封印してしまってから、同一LAN内で繋いで操作するということもたまに行っています。そういった時に、Splashtopを使い慣れているので、1つの選択肢として同一LAN内でパソコンを遠隔制御というように活用することもあります。
コロナ禍の緊急対策だけじゃない。スタッフのニーズに応えた働き方を。
貴社の今後の働き方について教えてください。
酒井氏:コロナによるパンデミックは去りましたが、リモート環境があることで、出産してしばらく子育てにも参画しているスタッフ等も無理なく働くことができる環境にあります。働き方がスタッフごとによって色々ニーズがある中で、やはり遠隔で操作できる環境は、コロナ禍だけではなくコロナ後でも活用できるものだと思っています。
できるだけリモートで働ける環境を減らす必要はないかなと感じていますので、今後もぜひ活用していきたいと思っています。
続いては、プロジェクトマネージャーの安藤寿孝氏と笹村佳央氏。そして、ジュニアアーキテクトのInes Amine氏のインタビューです。
プロジェクトマネージャー 安藤 寿孝 氏
プロジェクトマネージャー 笹村 佳央 氏
ジュニアアーキテクト Ines Amine 氏
Interview Video
プロジェクトマネージャー 安藤 寿孝 氏(中央)
プロジェクトマネージャー 笹村 佳央 氏(右)
ジュニアアーキテクト Ines Amine 氏(左)
( 動画時間 12:02 )
YouTubeを再生するご担当業務について教えてください。
イネス氏:私はフランスのパリ出身で、4年前に日本での生活を始め、3年前にNOIZで働き始めたのでNOIZには3年程在籍しています。私はアーキテクトとして、主にビルなどの建物の設計をしています。建物全体の設計だけでなく、時には家具の設計も行うので、様々なソフトウェアを使用しながら働いています。
安藤氏:現在、私は都内だけではなく様々な県に跨るプロジェクトを担当させていただいています。プロジェクト自体もいろいろなタイプがあり、商業施設のインテリアや街づくりなど多岐に渡り、規模も様々なプロジェクトを担当しています。
どの時を切り出すかによって担当のプロジェクトは異なるのですが、今私がやっているプロジェクトだと工事が始まる直前のものや、その前段階の基本設計のもの。さらにその前の企画段階のものもあったり、そういうものが都内だけではなく、日本各地にある状態です。
笹村氏:建築の設計をやっており、現在は2025年に開催を予定している大阪・関西万博内の「テーマ館」というパビリオンの中の1つを設計させていただいております。また、私は中途採用として弊社に入社したのですが、建築業界には7年程携わっています。これまでに学んだ知識を弊社の若手社員にナレッジ共有をして、事務所として成長していこうという試みでリモートのスタディセッションも担当しております。
普段どのようなソフトウェアを使用しますか?
イネス氏:主に3Dソフトウェアを使用して、建物や家具のモデリングを行っています。
また フラットや断面図などを作成する時には2Dの図面ソフトウェアを使用します。個人的にはアニメーションも好きなので、アニメーションソフトウェアも使用して作業することもあります。
安藤氏:その時々によって違いますが、プロジェクトの提案書をまとめるようなことが多いので、Adobe系のソフトを多く使ったり、事務所内での打ち合わせでは簡単にPowerPointに貼ったりということが多いかなと思います。
地方で育児も、隙間時間の活用も。多様なリモートワークが“ふつう”に行われています。
現在のリモートワークの状況を教えてください。
イネス氏:現在は週に2回ほどSplashtopを使用してリモートワークをしています。悪天候の時にも、Splashtopを使って自宅で仕事をしますよ。また、事務所のPC上に何かを忘れてしまった場合や画面共有したい場合でも、すぐに自分のコンピューターにアクセスして同僚と確認することができます。
時にはスマートフォンからSplashtopに接続して、ファイルやPDFを確認することがありますので、少なくとも毎週必ず使っています。
安藤氏:私の現在の働き方自体が、NOIZで週の半分程働いて、あとの半分は自分で主催している事務所の仕事をするというスタイルです。
そもそもNOIZ自体が、そういう働き方を許容していることがまず大前提にある上での話になるのですが、その時々によって居る場所が様々なので、家から作業する時もあれば、カフェなどの別の場所から取り組むこともあります。そういう風に、柔軟に、好きな場所で好きなタイミングで事務所の持っているデータなどに直接アクセスできて、自分のデスクトップPCを動かせるというのが、やはり1番のメリットです。
例えば都内の仕事に限定しても、ある時は秋葉原で対面の打ち合わせがあって、次また移動するけど、その間に打ち合わせがあるという時にも、秋葉原の近くでリモートで働くなど、局所的なリモートワークも当然、みんなある程度そういう働き方になってきていると思います。
大きく事務所か?家か?のように、1日単位で全部切り分けられているわけではなく、時間単位でも外だったり中だったりと選んでいる感じかなと思います。今までなら隙間の時間では対応できなかったことが、小さい時間でも細かく打ち合わせが入れられたり、作業ができたりするようになっていると思います。
笹村氏:昨年の12月頃から妻の実家に里帰り出産で、帰省していました。子供が生まれるということで、遠隔で仕事をしたいと会社に打診したところ、快くOKしてくれて、無事に昨年末に愛媛に帰ることができました。子供も2月に生まれて、今、絶賛 子育て格闘中です。
実際に地方からフルリモートで働いている感想を教えてください。
笹村氏:地方に来て思ったことなのですが、私のようにフルリモートで働いてる方が意外と多いと思いました。ただそういった方達は、デザイナーやSEの方のような「身1つ+パソコン」のような軽いソフトでできる仕事の方が多い印象です。私のように重たいソフトウェアを遠隔で回しながら作業するというのはなかなかレアかなと思います。それを実現できるのも、Splashtopとこの働き方を許してくれた弊社のおかげだと思っています。
2DCADも3DCADも動かせる!ハイスペックPCもシームレスにリモートしています。
Splashtopの使用感はいかがですか?
イネス氏:私はコロナ禍からSplashtopを使い始めました。それまで、Splashtopについては知らなかったのですが、リモートで同僚と一緒に作業している時にも私のPC画面を共有しながら作業することができてとても快適です。
Splashtopを使用することで、自宅で仕事をする場合でも 事務所にいる時と変わりなく作業ができます。私たちは3D・2Dソフトウェアをはじめ様々なソフトウェアを使用しますが、インターネット接続が良ければ、自宅と事務所の違いを感じないくらい快適です。
安藤氏:例えば自分のPCと事務所のPCが違う場面もあると思いますが、リモートでは、当然、事務所のPCを動かすことになるので、同じ環境でストレスなくシームレスにできていると思います。多分、みなさんも同じように柔軟な働き方をされていて、家や事務所などで 好きに切り分けて働いているので、そういう意味だと、そこにすごく寄与しているように感じるので好評なのだと思います。
リモートワークの導入でメリットは感じていますか?
イネス氏:事務所では、同僚とまったく違うスケジュールを組むことはないので、私が出社している時に、同僚からの確認が必要な場合は事務所のマウスとモニターで直接見せた方が簡単で良いです。また、私がリモートワークの場合でも、同僚が私に何かを共有したい時には、彼らが私の事務所のPCに直接アクセスできるので、コミュニケーションがより簡単になりました。Splashtopのおかげで助かっています。
笹村氏:建物を設計するにあたり、特定のソフトを使用して図面を描いたりモデルを作ったりして日々検討を進めるのですが、建築・設計をやっている人は、個人で仕事をしやすい環境を作ることのハードルが高いのです。しかし、Splashtopがあるおかげで、事務所に既にあるCADソフトや3Dソフトなどをそのまま使うことができます。私の場合は、 愛媛にいるのに東京の設備を使って仕事ができているので、その点もすごく魅力だと思います。
若者こそ地方へ行くべき!?新たな働き方の拡大に期待
Splashtopやリモートワークの今後に期待することはありますか?
イネス氏:数ヶ月前に、事務所内のルールにアップデートがあり、Splashtopの遠隔起動を利用して事務所のPCをオン・オフにすることが可能になりました。以前はコンピューターを常にオンにしておくことしかできなかったので、電力の無駄使いになっていたかもしれませんが、今は制御することができますので、とても満足しています。
安藤氏:弊社は自由に働ける環境にあるのですが、世の中全般的に言うと、多分そういうこと自体がまだまだ少ないので、技術の前に、まずは各社でそういう仕組みを用意しないとそういう風に働ける人自体が増えていかないのかなという思いが大前提としてあります。技術的な話だと、MacとWindowsという違いを除けば、既にある程度のところは解決されていると思っているので、特に「あとこれが出来たら……」というのは 私自身はそんなにありません。
あとは全くまた別の話として、働く場所などが自由になれば、街づくり企画のプロジェクト等の場合、自分がある期間まとまってその場所にいることで、その場所自体にコミットできるようなこともあると思います。今までは働くことがベースにあって「働く場所をどうしましょうか」という話だけで終わっていたと思いますが、そうではなくて、働く場所を“選ぶ”ことで、どの地域に自分が身を置いて、どの地域に貢献できるかというところまで可能性が出てくるのではないかなとは思っています。
笹村氏:東京に住む物価と地方に住む物価は全然違うんです。仕事がそれなりに板についてきた人は、地方に行った方が、お金が貯まると思います。事務所に所属しつつも、いろんな場所で仕事をして、特に地方で仕事をする。そうすれば、特に貯金が貯まっていない時期も、地方に行く事で意外と貯まったりすると思います。そういう意味では、若い人ほど仕事が一通りわかったら、どんどんリモートワークに挑戦して、貯金を含め、いろいろとできるのではないかなと思います。
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