導入事例インタビュー
デュアルディスプレイ対応でクリエイターに快適な作業環境を。管理者の手離れの良さも決め手に。
株式会社イマージュ
株式会社イマージュは、CG制作・デジタルマーケティング・D2C/EC支援、運用代行・HMIデザイン・アーカイブサービスなど、幅広く事業展開を行っている制作会社です。『ファイナルファンタジーXV ロイヤルエディション』や劇場版『妖怪ウォッチ』『クロバラノワルキューレ』など、多くの作品に携わってきました。
同社では、以前より少数の社員のみリモートデスクトップを使用していましたが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により使用ユーザーが増えることになったため、セキュリティ面の強化と管理がしやすいリモートツールへの変更を検討されていました。スプラッシュトップを導入することでどのように課題解決されたのか、その経緯について取材してきました。
まずは、CGI事業部R&Dグループシステムエンジニア 荒井資生氏に話を伺いました。
CGI事業部 R&Dグループ/システムエンジニア 荒井 資生氏
目次
従来製品はユーザー管理が課題
スプラッシュトップ導入前の課題は?
もともと海外事業部があったので、リモートで遠隔地との接続はしていましたが、その時は別のシステムを使用していました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で出社が難しくなり、社内でのリモートデスクトップを使用するユーザー数の増加に伴い、管理の問題が出てきました。
それまでは個人向けのソフトを使用していたため管理ができなかったことから、他のソフト導入の検討が始まりました。そこで見つけたのが、スプラッシュトップでした。
緊急事態宣言下でのスプラッシュトップ導入について
管理者側でパッケージを作成し、ユーザーにインストールしてもらうだけなので、導入に関しては素早く対応することができました。
決め手は“デュアルディスプレイ”
他社製品と比較して、スプラッシュトップを採用した決め手は?
実際に使用してみて、ユーザーから一番多かった声がデュアルディスプレイですね。あとは、日本語入力もありました。
もともと、ほとんどのユーザーがデュアルディスプレイで作業し、サブディスプレイで素材チェックやメールなどを行っていたので、今までのスタイルと合致したことも大きいです。
約90名がいつでもテレワークできる環境へ
現在の利用状況、運用状況は?
現在は90名程が登録しており、テレワーク時に使用しています。運用面では、セキュリティ面が強いことが非常に良くて、新しいデバイスを追加する際には管理者へ連絡が入り、認証してその都度使用するようにしています。
導入後の社員や管理者の反応は?
ユーザー側は満足して使用しているようです。管理者側としては、使用状況を一括で見られる点が強みだと思います。誰がどの時間に繋いでいるのかを確認できることが非常に良いです。
以前使用していたリモートソフトだと、大多数のユーザーが使用することを想定して作られていなかったので、スプラッシュトップの管理やメンテナンスのしやすさはありがたいです。
導入しやすい/しにくい部門や社内ルールの変更はあった?
WEBサービス運営の部署はほぼ100%テレワークができています。導入しにくい部署は基本的にはありませんでしたね。テレワーク時に離席しているのかどうか分かりづらいという声が挙がったので、社内で使用するグループウェアを入れ替えたことも導入のしやすさに影響したと思います。
用途によって最適なツール選定を
海外拠点とのやりとりに変化はあった?
日本から海外のサーバーに繋ぐということは今までも行っていましたが、わざわざ現地に出向かなくても、相手の状況がわかることは大きな変化です。
スプラッシュトップ導入前は、現地のユーザーに「これを見て!」などの指示を出すことも難しかったのですが、どこで作業をしていても、距離を感じることなく仕事ができるようになったのではないかと思います。
業務をする上で、相手のどのアクションで何が出てくるのかわからないので、それを聞いてサポートする必要があります。リモート接続することで、自分の画面で操作して実際の現象を確認できるので非常に効率よく進行できていると思います。
VPNとリモートデスクトップのセキュリティについての考えは?
VPNはVPNの良さがあると思いますが、弊社ではもっと用途を絞った使い方をしています。「何のために繋ぐのか?」と、使用目的を明確にしなければVPNは使用できないと思います。実際に社内PCで使用するという考え方なら、リモート操作のソフトの方が使いやすくわかりやすいと思います。
弊社では、自社で構築したVPNも使用しており、自分の手の内にあるから安全だとは思っていますが、システムにも限界はあります。既にサービスとしてあるならば、専門の会社へ任せた方が良いと考えています。
株式会社イマージュの「これからの働き方」について
状況が変化していくので、使う頻度はそれぞれのタイミングで変わっていくと思います。テレワークの導入は技術的に難しいと思っていましたが、実際には可能だということがわかったので、今後は、それぞれの社員の事情に合わせて上手くやりくりしながら働けるようになると感じています。
正直無理だと思っていた「こんな働き方が家でできたら…」が実現!クリエイターもリモートワークへ
続いては、キャラクターのアニメーションなどを中心に同社で映像クリエイターとしてご活躍されている高木 萩斗氏にお話をお伺いしました。
高木 萩斗氏
クリエイター業にリモートワークは難しい?
導入前のクリエイティブ×リモートワークの印象は?
僕らの仕事は、アニメーションを中心に作業する業務が多いので、少しでも遅延が入ってしまうと、モーションのリズムとか気持ちよさの確認に影響が出てしまいます。しかし、リモートのイメージとして、遅延が入ることは仕方ないことだと考えていました。だから、私たちのチームでリモート勤務をすることは難しいかなと思っていました。
しかし、実際にリモート勤務をしてみると、問題なく作業を進めることができました。映像の色の確認などは、モニターに依存するため、シビアに確認を行うときは出社して対応しています。
現在の利用状況は?
コロナ禍をきっかけに、全社員強制的にテレワークへ移行した時期がありました。現在は、都の施策に合わせて一部テレワークへ緩和しており、出社とテレワークを選べる体制になっています。
その中で、テレワークを希望する社員はスプラッシュトップを利用して業務を進めています。週2日程度テレワークをしている社員が多いですが、私は家が遠方のため週3日テレワークを行っています。
様々な部署で使用していますが、システム周りの社内環境を整える部署や2Dワークの部署などもテレワークで作業を進めています。会社で作業をする時と同じ環境でスプラッシュトップを使用してテレワークをしているので、自宅PCには必要最小限のツールのみを入れて作業できています。
デュアルディスプレイも専用ソフトの操作も問題ナシ!
専用ソフトをリモートで操作することにストレスはある?
最初は心配でしたが、実際に操作してみると大きくストレスを感じることはありませんでした。アニメーションの細かい詰めの作業や、30分の1、60分の1フレームの時は心配なので出社して確認することもありますが、ざっくりとした確認なら、スプラッシュトップ経由での確認でもそれほど遜色はありません。自宅の回線の太さにもよるかもしれませんが、作業中でもマシンのレスポンスが遅いと感じることもなくストレスなく快適に作業が進められています。
以前、モバイルルーターを自宅で使用していた時期があり、その時は若干の遅延を感じることはありましたが、それでもまったく作業ができないと感じることはありませんでした。
強制的にテレワークへ移行となった頃には、「もし作業がうまくいかなければ、また出社に戻さないといけないかも」という話もありましたが、今回の導入で大きなトラブルもなかったので、テレワークを社の仕組みに取り入れていこうという方向へ会社が舵をきれたのも、リモートで問題なく業務が進められたことが大きな理由ではないかと思います。
クリエイターのリモートワークに必要な機能は?
スプラッシュトップは、会社の環境とほぼ同じ環境を家に作れることが良かったです。私は2台のディスプレイを使用し、ウィンドウを開いたままの状態で作業をするのですが、1台しかディスプレイがないと切り替える手間が発生し、その作業工数もばかになりません。
スプラッシュトップではデュアルディスプレイができるので、モニター間の行き来もストレスなくできることが良かったです。仕事内容にもよりますが、会社と同じ環境でマルチタスクにも対応できる操作感と、デュアルディスプレイの仕様は必須だと感じています。
通勤時間分を家庭の時間に
リモートワークを導入してよかった点は?
1番大きなメリットは、出社時間がなくなったことです。私はコロナ期間中に郊外に引っ越したため、通勤時間が1時間半程かかるようになりました。その時間をリモートワークだとゼロにできるので、大きなメリットと感じています。
コロナが少し落ち着いて出社もできる状態になった時に、テレワークと出社日を個人やチーム毎でこれからの働き方を決めるよう会社から打診された時にも、通勤時間を考慮してテレワークを週3日と多めに選択し、週2日は出社するという希望を伝えました。
テレワークになってからは体力的・時間的にも余裕ができたので、夜ぐっすり眠ることができ、翌日は元気に仕事ができるようになったのでプラスに感じています。
通勤に充てていた時間の過ごし方は?
ちょうど子供が生まれる前後で、会社規定で取得できる休みと有給休暇、運よくGWも近かったこともあり長い期間休むことができました。その時に、夫婦二人で協力して家事をやっていましたが、それでも結構バタバタで……。出社してる間、これを産休中の妻にお願いすることになると大変だなと感じていたので、私がテレワークになって良かったと妻も言っています。余暇時間というよりも、家事育児をお互いに協力し合う時間として使っています。
テレワークありきのワークフローで新しい日常へ
クリエイター×リモートワークの今後に期待することは?
2年前からすると、現時点で「こんなことできたら良いな」と思っていた未来に近づいていると思います。まさか家で仕事ができるようになるなんて思ってもいなかったし、デュアルディスプレイを利用して会社と同じ環境で仕事ができるとも思っていなかったし、筆圧なども問題なく感知してくれているのですごいなと思っています。
本当に出社時と同じ作業をほとんど実現できているので、マシンを自宅におかなくても会社のシステムにアクセスすれば同じ作業ができて、デスク回りがスッキリすることも嬉しくて、リモートならではの良さかなと思います。
今後、デザイナーの仕事であっても、その他の職種においてもテレワークでの作業が衰退して無くなってしまうことはないと思っています。デメリットとしては、すぐに対面で意思疎通ができないことが挙げられますが、メリットも十分享受していると思います。そして、そのメリットが結構大きいことは、みんなが肌で感じていることだと思うので、今後テレワークを取り入れた業務の進め方、テレワークありきのワークフローを組むということが一般的になっていくのではないかと思います。
今後クリエイターを目指す方へ
自分の実力をしっかり会社に見せることが大事だと思います。自分が「どんなことができるのか」をはっきりと見せることが大事です。
会社はどういう人が来るのかを全くわからない状態なので、「こういうことができるなら、ここにアサインしたら仕事してくれそうかな」とか、「こういうことができるなら、新しい風が入るかな」など、会社はスキルを見ているので、「自分がどういうスキルを持っていて、こういうことができるからこの会社に入りたい、そしてこんなことがしたい」など、自分語りよりも“何ができるのか”をはっきりと示すことが大事だと思います。
そのためにも、ポートフォリオは最重要です。また、採用基準は会社や人事担当者、現場のディレクターによって変わってくると思いますが、実力のわからない人を採用するということはまずないと思うので、「この人に仕事を任せたら、こういう作品が上がってくるだろう」ということを、相手に想像させることが大事だと思いますよ。