導入事例インタビュー
アーティストも納得の使用感。大ヒット作品を創るスタジオが、Splashtopを選んだ理由
株式会社ダンデライオンアニメーションスタジオ
2022年12月の公開以降、日本を飛び出し、世界各国で大ヒットを記録しているアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』をはじめ、多くのファンを持つスマートフォン向けアプリゲーム『アイドリッシュセブン』や『あんさんぶるスターズ』など、数々のヒット作品の3DCG・デジタル作画を手掛けてきた映像制作会社。
同社は、数年前よりリモートワークの導入を模索していましたが、コロナ禍をきっかけに、全社的なリモートワークの導入に踏み切りました。そこで採用されたのがSplashtopです。今回は、コロナ禍でも制作を止めないために、どのようにインフラを支えたのか、また、Splashtopが採用された理由や実際の制作現場での使用感をお伺いしました。
まずは、映像制作室 室長/テクニカルスーパーバイザー西谷浩人氏のインタビューです。
株式会社ダンデライオンアニメーションスタジオ
映像制作室 室長 テクニカルスーパーバイザー 西谷 浩人 氏
西谷さんの業務内容について教えてください。
弊社の主なビジネスは、3DCGを使ったアニメーション制作です。私自身は、普段はシステム的なメンテナンスやテクニカルで、映像制作をする上での効率化を含めたツール制作や、キャラクターを動かすための仕組みづくりを担当しています。あとは、一応制作室の室長というところで、マネジメントを含めてやっている感じですね。
3DCGに特化した映像制作会社の情報システムは、一般的な会社の情報システムと比べて特徴などはありますか。
実際に制作も自分たちがやるというところですね。中小企業だと大体このパターンが多いと思うのですが、大企業だと専任のプロフェッショナルな担当者がいると思います。その場合、システムのみの専任者だからこそ、現場との連携が難しい部分もあると思います。弊社の情報システム部門は、実質、自分ともう1人で管理しています。あとはヘルプ的に3~4人いますが、全員のメイン業務は映像制作なので、現場の事情も理解しながら対応することができます。
純粋に、画作りに集中できる環境のためにリモートツールの選定ポイントは?
コロナ禍の制作を、情報システムの面からどのように支えましたか。
コロナ感染拡大から、もう3年くらい経ったでしょうか。ということは、大体そのぐらいの期間はフルリモートということですね。
とりあえずは、普段とあまり変わらないように作業をできなきゃいけないという点が課題としてありました。当時は、リモートワークを“やらなきゃいけない”というところではあったので。その中で一番難しかったのは、やっぱりPCのメンテナンスの部分ですかね。
Splashotopの導入理由を教えてください。
それまでは、通常はVPNを使ったり、その他のいろいろなツールを試したりはしていました。一か月程度、まずは検証含めていろいろとやってきたという感じですかね。コロナ禍当時は、何よりもスピード感が重要だったことと、他の同業者の方がSplashtopを使っていると聞いたので、「それじゃ、ちょっとそれ使ってみようか!」という流れで、検証しました。
いろいろなツールが世の中には出ているのですが、管理面から言うと、今PCがどうなっているのかといった状況把握がしづらいことが多かったです。その点、Splashtopは、今このPCがちゃんと動いているかどうかといった管理画面のインターフェースがすごく見やすかったです。
リモートワークの導入にあたり、制作現場からはどのようなリクエストがありましたか。
リクエストは、やっぱり色味をちゃんと再現できることや、弊社の場合は音モノが多かったりもするので、実際の絵と音がリンクすることですね。そこはちゃんとリアルタイムでくればくるほどうれしい。あとは、液晶タブレットを使う機会が多いので、筆圧感知はやっぱり要望としては高いです。純粋に、画作りに集中できる環境が作れれば1番いいんだろうなと思います。
ネットワーク負荷とセキュリティ問題解決の手段は、VPNからリモートデスクトップ
VPNからリモートデスクトップに切り替えた理由を教えてください。
それはもう、完全にネットワーク負荷です。あとはセキュリティですかね。VPNだと直接会社のインターネットに繋がっちゃうので、自宅などの離れている先のPCが何らかの脅威にさらされているとしたら、社内のネットワークを守ろうにも、もう防ぎようがありません。実際に、Splashtopのようなツールの場合だと、画面転送のみで会社のネットワーク環境に干渉しないので、安定度が高く、圧倒的にこっちだろうなと思いました。
リモートワークの環境だと、普段から誰が実際に使っているPCか分からないですよね。複数人で使っているPCかもしれません。そういったところを考えると、やっぱりSplashtopのようなソフトを経由した方がいいのかなというところがありますね。
現在のSplashtopの運用状況について教えてください。
コロナ禍当初は、完全にフルリモートだったので、70~80IDほど導入しました。そして、「自宅にPCを持っている人はそれを使ってください、持ってない人は急いで発送します!」という流れで開始しました。現在も、トータルで70~80IDくらいだと思うのですが、それでも半数以上はまだフルリモートですね。
バックオフィスを含めて使っていますが、より機密の高い業務を担当する人はVPNでやったり、完全にローカルだけの環境でしたりする人もいます。会社PCの環境が必要ない人はまあそれはそれでという感じです。その他にも、実際にアーティストや、マネジメントを管理する制作関係だったりプロデューサーだったりも普通に使って対応していますね。
ただ、今後はもう少しコミュニケーションなどを含めて、出社の機会を増やしながら、いいバランスでハイブリッドな働き方ができればと思っています。どうしてもコミュニケーションが薄くなってしまったり、何か打ち合わせがあったりという時は、「できる限り出社して話しましょうね」というイメージですね。
そもそもリモートワークを導入する段階で、反対意見などはありませんでしたか。
コロナの感染状況を鑑みて、無理くりでしなきゃいけなかったので、あんまりそういう意見は聞いてなかったですね。「はい、もうおしまい!」みたいな。
あとは家でやれる環境があるんだったらそっちでやればいいって人も実際にいますしね。今のところ、出社する必要性があまりなかったというのは大きかったかもしれないですね。
導入時の苦労もなく、使い心地も上々!Splashtopには安心感がある。
実際に導入して、管理者側からの使い心地はいかがですか。
複数のPCを一覧で閲覧できるのですが、弊社の場合200数十台もPCがあったりするんです。それが一覧で見えてしまうと、それはそれで面倒くさい。どれに入ったらいいのかなと迷ってしまいますよね。また、協力会社の人が入ってくることもあるので、その場合は不要なPCは見せたくないこともあります。そういったセキュリティの面で、管理しやすいですね。
導入時に苦労した点などもありませんでしたか。
そこまで複雑な設定とかはしていないのですが、インストールの仕方を書いたドキュメントを作るくらいですかね。あとは実際に検証時に各セクションから2~3名協力してもらったアーティストから徐々にいろんな機能などを広げてもらうという流れです。
その他に、導入時に気を付けたことはありますか。
どうしてもネットワーク負荷は高まるので、なるべく高速回線があったほうがいいのは間違いないだろうなと思いますね。多分そこさえしっかりすればある程度は問題ないと思います。ただ、弊社もいろいろ試しながらという感じはまだあります。見直しとかもしていかなきゃいけないとも思いますし。
導入時に、自宅にインターネット環境がない社員にはポケットWi-Fiを配って、「何とか持ちこたえてください!」とか。あの時は本当に、一斉に在宅が増えたと思うので、プロバイダ決めも大変だったと思います。
ちなみに、自分はよく最近携帯にアプリを入れて実際に使ってみたりしていますが、普通に動きますね。出先からメールをみたり、返信してみたりしています。
最後に、私達スプラッシュトップ株式会社の印象を教えてください。
いろいろなアイディアや、「今、こういうことやってますよ!」など、様々なことをお話しいただけて、かつそれを試させていただけるので、実際の現場としては助かります。アップデートが早かったり、どんどん良い環境をすぐに提供してもらえたりというところは、とても安心感があると思います。
色味やノイズ、音ズレ問題クリエイターの快適なリモート環境とは
次は、同社で働き始めて11年目のルック・コンポジットアーティスト 川口紗希氏のインタビューです。
株式会社ダンデライオンアニメーションスタジオ
映像制作室 ルック・コンポジットアーティスト 川口 紗希 氏
業務内容を教えてください。
担当業務は、「ルックデヴ」と「コンポジット」です。「ルックデヴ」はキャラクターの見た目や質感を決める作業で、「コンポジット」は、BGやキャラクター、エフェクトを合成する作業です。作品作りだと、最後の方の工程を担当しています。1番最後の工程だからこそ、そこが視聴者の皆さんにそのまま見られてしまうので、丁寧に作るように気を付けていますね。主に「MAYA」という3Dソフトと、「After Effects」や「Photoshop」を使用して作業しています。
クリエイティブ部門のSplashtopの利用状況はいかがですか。
かなりの方が使っていると思います。アニメーターはVPNを使っている方もいると思うのですが、モデラーとコンポジットはSplashtopをメインで使っていると思います。
リモートワーク導入時に不安だったことはありましたか。
Splashtopのようなソフトがないと難しいなと思いました。会社のサーバーにあるデータを使うので、家にあるPCだけでは作業できません。家のPCから会社のPCに接続できる環境がないと難しいだろうと思っていましたが、Splashtopを導入して実際に使用してみると、スムーズに作業に入ることができました。
リモートワーク自体は、私が(リモートワークに)入る頃には、既に何名か始めていたので、「あ、そういうものなんだ!」という感じはありました。緊急事態宣言のちょっと前からモデラーは徐々に始めていたのですが、それ以前では考えられなかったですね。
クリエイターのリモートワークで大事なポイントはありますか。
私の仕事だと、会社で使っているPCと同じように色が映ることやグラデーションがきれいに表示されたり、ノイズが乗らなかったりということが大事だなと思います。また、映像と音のズレがなるべく少ないといいなとも思っています。
例えば映画だったら、色味が違ったりノイジーだったりする画を、その状態が正しいと思って作業をしてしまうと、オンエアされるものはまた別の物に仕上がってしまうので、そこは正しくないといけないと思います。
各社リモート製品で、使用感も様々。Splashtopと他社製品の違いは?
Splashtop導入前のリモート環境について教えてください。
他社製品を使用していた時は、やはり長時間つないだ状態だと、だんだんノイジーになってきてしまったり、音ずれもあったりしました。その点Splashtopは、色の差や音の差はそれまでのものよりは少ないと感じています。以前試したものに比べて、良いという意見しかなかったですね。
以前のツールだと、具体的にどのような操作が難しかったですか?
文字入力がうまくできなかったり、半角ボタンを押すと、会社のPCと手元のデバイスで何かがうまくいかないのか、文字入力ができなかったりしたのですが、Splashtopではそういうこともなく、スムーズにできました。
作品作りの現場で、Splashtopの使用感はいかがですか。
良いと思います。デュアルモニターで両方ともリモートで作業をしているのですが、全画面フルリモートがとてもやりやすくて、会社にいる状態が本当にそのままという感じで作業できて、とても良いですね。
デュアルモニターでは、右側でメインのソフトを立ち上げて、左のほうに参考資料の画面をだしたり、チャットの通知が出るようにしたりという感じで使っています。あとは、スクリーンショットの機能がすごく好きです。スクリーンショットをしたときに、リモート先で撮るか手元のPCで撮るかを選べるじゃないですか、あの機能がすごい便利だなと思いました。
制作ソフトのリモートでの使用感も問題ありませんか?
問題なく動いていますね。自宅のPCは、そんなにスペックの良いものではないのですが、そこから会社のPCを操作して制作ソフトを動かせるので、軽く作業できていますね。また、家にいる時に会社で問題があった場合にも、会社にある他のPCに接続して問題を解決できたので、それもよかったなと思っています。
座席数からの解放で日本全国のクリエイターと作品作りを!
クリエイティブワークをリモート化したメリットを教えてください。
仕事柄、一人で黙々と作業することが大事だと思うので、会社だとイマイチ集中ができないという人も家から一人で作業できる環境を整えられたり、お子さんがいる方でも時間を選ばず働けるようになったりしたので、とても良いことだと思います。現在、私は1週間のうち4日はリモートワークで、1日だけ出社しています。通勤時間の削減もそうですが、自宅作業の日はメイクをしなくて良いので、その分の時間を趣味の時間に使えるようになったという変化もメリットだと思います。
今後のクリエイティブワークのリモート化に期待することはありますか。
弊社も、今までだと座席数の制限により新たに採用できないという課題もあったのですが、リモートを導入することにより、今は座席数にとらわれずに、求人を出せています。今後は、東京だけではなく、日本全国のクリエイターの方々と一緒に働いて、技術を共有し、もっと良い作品が作れるようになるのではないかなと思います。
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