近年では、働き方の多様化やワークライフバランスの実現に向けてテレワークを導入する企業が増えています。
テレワークをする従業員には、一人1台ずつパソコンを配布するケースが多いですが、これは膨大なコストがかかるだけではなく、企業機密や個人情報が流出するリスクもあります。
コストの負担やセキュリティリスクを最小限に抑えるのであれば、パソコンの遠隔操作が有用です。
リモートデスクトップやリモートサポートを利用すれば、個人の端末から会社端末にアクセスすることが可能であり、遠隔操作で作業ができます。
個人の端末から直接作業ができるため、新たな端末を配布したりデータを持ち出したりする必要がなくなり、コスト負担やセキュリティリスクを最小限に抑えることが可能です。
この記事では、パソコンを遠隔操作をする方法をはじめ、リモートデスクトップを利用するメリットや注意点などについて詳しく解説します。
目次
パソコンを遠隔操作する方法
パソコンの遠隔操作とは、離れた場所から別のパソコンを操作できるようにすることです。
インターネットを介して離れた場所にあるパソコン(ホスト)に手元のデバイス(クライアント)からアクセスすることで、ホストPCの画面が映し出されます。
クライアントPCからは、ホストPCのマウスやキーボードの操作、ファイル操作などができ、ホストPCを現地で操作している状態に近い体験ができます。
パソコンの遠隔操作は主に自宅から会社のパソコンを操作して作業する際に使われることが多いですが、近年ではメンテナンスのリモートサポート用途で活用されるケースも多いです。
パソコンを遠隔操作する方法には複数の選択肢があります。ここでは、パソコンを遠隔操作する代表的な方法を紹介します。
リモートデスクトップ
リモートデスクトップとは、離れた場所にあるパソコンにネットワークを介して接続し、手元の端末で操作する技術です。
たとえば、テレワークをする際に自宅から社内のパソコンにリモート接続することで、会社で作業するときと同じ環境で仕事を進められます。
これはIT管理者やサポート担当者にとっても有用であり、遠隔地にあるパソコンのメンテナンスや設定を行う際にも役立ちます。
SplashtopやTeamViewer、AnyDeskなどが代表的であり、いずれもファイアウォールやNATを通過する能力が高く、複雑なネットワーク設定を必要としないため、比較的簡単に導入、運用することが可能です。
テレワークの増加に伴い、社員のサポートや顧客へのテクニカルサポートなど、幅広い場面で活用されています。
VPN
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的なプライベートネットワークを構築する技術です。パソコンの遠隔操作において、VPNは安全な通信経路を確保する重要な役割を果たします。
VPNを使用すると、公共のWi-Fiなど安全ではないネットワークを介しても、暗号化されたトンネルを通じて社内ネットワークに接続できます。
これにより、リモートデスクトップやその他の遠隔操作ツールをより安全に利用することが可能です。多くの企業では、セキュリティポリシーの一環としてVPNの使用を義務付けています。
VNC
VNC(Virtual Network Computing)は、クロスプラットフォームに対応した遠隔操作プロトコルです。WindowsやMac、Linuxなど、異なるOSを搭載したパソコン間でも遠隔操作が可能です。
VNCは、RFBプロトコルを使用してグラフィカルなデスクトップ共有を実現します。設定は比較的簡単で、VNCサーバーを対象のパソコンにインストールし、クライアント側からIPアドレスとポート番号を指定して接続を行います。
VNCの利点は、軽量で高速な動作と柔軟性の高さです。一方で、RDPと比べると機能面で劣る部分もあります。
MDM
MDM(Mobile Device Management)は、主にスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを一元管理するためのソリューションですが、最近では遠隔操作を通してパソコンの管理にも活用されています。
MDMを使用すると、リモートでデバイスの設定変更、アプリケーションのインストール、セキュリティポリシーの適用などが可能になります。企業のIT管理者は、MDMを通じて社員のデバイスを遠隔で監視し、必要に応じて操作することが可能です。
MDMの導入により、セキュリティリスクの低減やIT管理コストの削減が期待できますが、適切な運用ポリシーの策定が重要となります。
VDI
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)は、サーバー上に仮想的なデスクトップ環境を構築し、ネットワークを通じてアクセスする技術です。
ユーザーは、シンクライアントやノートPCなどのデバイスから、サーバー上の自分専用の仮想デスクトップにアクセスして作業を行います。
VDIの最大の特徴は、データやアプリケーションがすべてサーバー側で管理されるため、高度なセキュリティと一元管理が可能な点です。また、どのデバイスからアクセスしても同じ環境で作業できるため、柔軟な働き方の導入にも役立ちます。
目次へ戻るパソコンを遠隔操作するならリモートデスクトップが便利
パソコンの遠隔操作を考える際、リモートデスクトップは非常に便利なツールです。
リモートデスクトップを利用することで、物理的に離れた場所にあるパソコンを操作できるようになり、出張先や自宅からオフィスのパソコンにアクセスすることが可能です。
この技術は、特にテレワークが普及している現代において、時間や場所に縛られずに作業を進めるための強力な手段となります。
また、リモートデスクトップは社員の作業ツールとしてだけではなく、IT管理者やサポート担当者の保守・メンテナンス業務をサポートするツールとしても有用です。
直接現地に足を運ぶ必要がなく、社内や自宅にいながら対象のパソコンを操作できるため、移動にかかるコストを削減できます。
目次へ戻るリモートデスクトップを利用するメリット
ここでは、リモートデスクトップを利用するメリットを紹介します。
場所問わず業務ができる
リモートデスクトップの最大の利点は、場所を選ばずに業務を遂行できることです。オフィスのパソコンに遠隔操作でアクセスすれば、自宅やカフェ、出張先のホテルなど、インターネット環境さえあればどこからでも仕事が可能になります。
また、急な用事や体調不良で出社できない場合でも、自宅から業務を継続できるため、生産性の低下を防ぐことができます。
遠隔操作によって時間や場所の制約から解放されることで、柔軟な働き方を実現し、従業員のワークライフバランスの向上につながるでしょう。
情報漏洩リスクが少ない
リモートデスクトップを利用した遠隔操作は、情報セキュリティの観点からも優れた選択肢です。
データやファイルはすべてホストPCに保存されているため、個々のデバイスにデータを保存する必要がなく、紛失や盗難によるデータ漏洩のリスクを大幅に軽減できます。
また、暗号化された通信を使用するため、データの傍受や不正アクセスのリスクも低減されます。アクセス権限の設定や多要素認証を導入することで、セキュリティをより強化することが可能です。
リモートデスクトップを活用することで、安全な環境下で業務を行うことができ、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
低スペックの機器でも使える
リモートデスクトップの大きな利点の一つは、低スペックのデバイスでも高性能なパソコンの機能を利用できることです。処理はサーバー側で行われるため、クライアント側の端末に高い性能は必要ありません。
古いパソコンや安価なタブレット、スマートフォンでも、最新のソフトウェアや高度な処理を必要とするアプリケーションが利用できます。
企業は高性能な端末を全従業員に配布する必要がなくなり、既存の機器をそのまま活用できるため、コスト削減の手段としても有用です。
導入しやすい
リモートデスクトップの導入は、他のツールやソリューションと比較して非常に容易です。多くの場合、特別なハードウェアを必要とせず、ソフトウェアのインストールだけで利用開始できます。
クラウドベースのリモートデスクトップサービスを利用すれば、サーバーの構築や管理も不要になり、IT部門の負担を軽減して迅速な導入が可能です。スケーラビリティも高いため、必要に応じて利用者数を柔軟に調整できます。
リモートデスクトップは導入のハードルが低く、中小企業やITリソースの限られた組織でも容易に活用できる技術です。
目次へ戻るリモートデスクトップを利用するときの注意点
リモートデスクトップには多くのメリットがありますが、利用するにあたっていくつかの注意点があります。
ここでは、リモートデスクトップを利用するときの注意点を紹介します。
一定のセキュリティリスクがある
リモートデスクトップは便利なツールですが、セキュリティ面での懸念も存在します。
セキュリティリスクのなかでも特に注意が必要なのが、不正アクセスです。リモートデスクトップが適切に設定されていないと、悪意のある第三者がシステムに侵入する可能性があります。
この問題に対処するためには、強力なパスワードの使用や多要素認証の導入、データ転送時の暗号化が重要になります。
予想しやすいパスワードや暗号化されていない通信は、中間者攻撃の標的になりやすいため、注意が必要です。
ホストPCの電源が入っていないと使えない
リモートデスクトップを利用するためには、ホストPCの電源が入っていなければなりません。当たり前のようですが、この点は意外と見落とされがちです。
たとえば、オフィスのPCに自宅からアクセスしようとしても、そのPCの電源が切れていれば接続できません。また、スリープモードやハイバネーション状態でも、多くの場合リモート接続は困難です。
この問題への対策として、Wake On LAN(WoL)が役に立ちます。Wake On LANは、遠隔地からPCの電源を入れることができる機能であり、ホストPCの電源が入っていない状態でも任意のタイミングで立ち上げてリモートデスクトップが利用できます。
Wake On LANについては以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
通信速度の影響を受けやすい
リモートデスクトップの性能は、通信速度に大きく左右されます。高速で安定した接続があれば、スムーズな操作が可能ですが、遅延や途切れがあると作業効率が著しく低下してしまいます。
特に、グラフィック処理を多用するソフトウェアや動画編集などの作業では、通信速度の影響が顕著に現れるケースが多いです。
また、複数のモニターを使用している場合、必要な帯域幅がさらに増加するため、通信速度が不十分だと画面の更新が遅れたり、マウスの動きがぎこちなくなったりする可能性があります。
このような問題を軽減するためには、可能な限り高速な回線を使用することに加え、通信環境に合った設定の最適化が必要です。
目次へ戻る遠隔操作ツールを選ぶときのポイント
パソコンの遠隔操作をするのであれば、ニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。ここでは、遠隔操作ツールを選ぶときのポイントを紹介します。
セキュリティに問題はないか
パソコンの遠隔操作ツールを選ぶ際、最も重要な点はセキュリティです。信頼性の高いツールを選ばないと、個人情報や機密データが漏洩するリスクがあります。
まず、エンドツーエンドの暗号化が実装されているか確認しましょう。これにより、通信内容が第三者に傍受されても解読されにくくなります。
次に、多要素認証に対応しているかチェックします。パスワードだけではなく、指紋認証やワンタイムパスワードなど、複数の認証方法を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減することが可能です。
遠隔操作ツールのセキュリティ機能を活用することで一定のリスクを未然に防止できますが、ツールに依存するだけでは万全とはいえません。
強力なセキュリティ体制を構築するためには適切な設定や運用が不可欠であり、導入する前段階から方針を決めておくことが大切です。
操作・管理がしやすいか
遠隔操作ツールの使いやすさは、業務効率に直結します。直感的なインターフェースを持つツールを選ぶことで、操作ミスを減らし、スムーズな遠隔作業が可能です。
まず、ユーザーフレンドリーな画面設計になっているか確認しましょう。複雑な設定や手順が多いツールは避け、シンプルで分かりやすいものを選ぶことが大切です。
次に、マルチプラットフォーム対応も重要なポイントです。Windows、Mac、iOS、Androidなど、さまざまなOSに対応していれば、異なる環境下でも柔軟に作業できます。
さらに、複数のデバイスを一元管理できる機能があると便利です。大量のPCを管理する場合、一括設定や一斉更新などの機能があれば、管理者の負担を大幅に軽減できます。
用途に合ったサービス内容か
遠隔操作ツールを選ぶ際は、自社の用途に適したサービス内容であるかを慎重に検討する必要があります。
まず、必要な機能が全て揃っているか確認しましょう。ファイル転送、画面共有、音声通話など、業務に不可欠な機能をリストアップし、それらがカバーされているものを選ぶことが大切です。
次に、同時接続数にも注目しておきましょう。小規模なチームなら少数で十分かもしれませんが、大規模な組織では多数の同時接続が必要になる場合があります。
また、カスタマイズ性も重要なポイントです。自社の業務フローに合わせて設定を変更できるツールであれば、より効率的な運用が可能になるでしょう。
コストに問題はないか
遠隔操作ツールは多くの場合月額制になっており、導入すればランニングコストとなります。ツールを選ぶ際は、初期費用と運用費用の両面から検討することが大切です。
まず、ライセンス形態を確認しましょう。ユーザー数に応じた課金なのか、接続デバイス数による課金なのか、それとも定額制なのか、自社の利用形態に合っているか見極める必要があります。
遠隔操作ツールのなかには毎年値上げするものもあるため、あらかじめ評判や口コミなどを確認して費用感を確認しておきましょう。
目次へ戻るパソコンを遠隔操作するなら『Splashtop Enterprise』がおすすめ!
パソコンを遠隔操作するのであれば、『Splashtop Enterprise』がおすすめです。
Splashtop Enterpriseは、初期費用無料で利用できるリモートデスクトップサービスであり、ユーザーフレンドリーな操作性と高性能な機能が特徴です。
WindowsやMacなどのPCはもちろん、iOSやAndroidなどのモバイル端末でも利用可能なため、新たなデバイスや設備を導入する必要がありません。
テレワーク用途に加え、リモートサポートに活用することも可能であり、接続先のPCやスマホ、タブレットが有人無人問わずアクセスできるため、IT管理者が現場に駆けつけられない状況でも適切なサポートを実施することが可能です。
会社でパソコンを使用するのと遜色ない操作性で快適に作業できるため、場所や時間を問わず、効率的に業務を遂行することが可能です。
まとめ
パソコンの遠隔操作は、テレワークや従業員のワークライフバランスを実現するうえで欠かせない要素です。
会社のパソコンに時間や場所を問わずアクセスできるようになれば、従業員はより柔軟な働き方ができるようになります。
適切なツールを使えば、業務効率や従業員の満足度の向上につながるため、選ぶ際は自社に合ったサービス内容かしっかり確認しておきましょう。
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