こんにちは。スプラッシュトップ編集部です。
HDR(High Dynamic Range)とSDR(Standard Dynamic Range)はどちらも映像や画像に関する技術のことです。HDRの方が新しい技術で、より実物に近い表現ができます。
本記事では、HDRと従来のSDRの違いやHDRのメリット・デメリットについて解説します。
HDRとSDRの違い
HDRとSDRの違いを見ていく前に、まずはそれぞれの概要について簡単に説明します。
HDRとは
HDRとは、High Dynamic Range(ハイ・ダイナミック・レンジ)の略称で、輝度(明るさを表す指標)の最大値と最小値の比率を数値化した「ダイナミックレンジ」を広げて映像等を表現する技術です。この幅を広げるほど肉眼で見ているようなリアルな映像になります。
HDRはテレビなどの映像だけでなく、写真の撮影技術としても使用されています。しかし、写真撮影におけるHDR機能はテレビの場合と違って実際にダイナミックレンジを広げているわけではありません。
HDR機能を搭載したカメラは、複数枚の写真を高速で連続撮影し、それらを1枚に合成することで、明暗差を綺麗に表現したHDR風の写真撮影を可能にしています。つまり、写真のHDR機能は、あくまでもHDR風の画像を合成する技術だということです。
SDRとは
SDRとはStandard Dynamic Range(スタンダード・ダイナミック・レンジ)の略称で、以前から使用されている映像技術です。
HDRと比べてSDRはダイナミックレンジが狭いため被写体の本来持つ色彩や輝度を映すには限界があります。そのため映像によっては、元の状態とは違った見え方になってしまう可能性があります。
SDR映像はHDテレビや映画館で採用されているビデオ標準出力方法で、現在も多く視聴されていますが、HDRのようにリアルな映像を残すだけのスペックを持たないのが一般的な評価です。
HDRとSDRの違い
HDRとSDRは、主に対応する輝度に違いがあります。SDRでは「100nit(明るさを示す単位)」を超える輝度は圧縮されて同じ明るさになりますが、HDRの場合は最大「10,000nit」と対応する輝度がSDRの100倍も高く、映像の細かい色彩や明暗まではっきりと表示可能です。
また、明暗差もSDRの8bit(256階調)に対して、HDRでは最大4倍の12bit(4,096諧調)で表現することができます。諧調とは、色の濃淡のことを指します。多くの色を表現できることでよりきめ細やかな映像が実現します。
SDR | HDR | |
---|---|---|
明暗差の最大値 | 8bit(256階調) | 12bit(4,096階調) |
輝度の最大値 | 100nit | 10,000nit |
HDRは、SDRよりも映像の細かいディテールや色味が表現でき、その場にいるような臨場感を与える映像制作に役立てられています。
HDRのメリット
SDRと比較するとHDRを使った映像制作には、さまざまなメリットがあります。以下では、HDRのメリットについて解説します。
明るい風景の視認性が高い
HDR映像は明るい風景の視認性が高いため、雲や太陽といった高輝度の映像を視聴する際に、テレビの枠を超えてその場にいるような臨場感が楽しめるメリットがあります。
先述の通り、HDRは表現できる輝度が最大10,000nitとSDRの対応する100nitよりも100倍も高いため、映像の細かい明暗まで実現可能です。
暗い風景が肉眼のようにみえる
HDRは明るいシーンだけに限らず、夜景など暗さを強調した映像も鮮やかに映し出すことが可能です。画面全体が暗い映像でも、暗い部分をより暗く強調しつつ、そこにあるわずかな光や色もしっかりと残せるため、実際に肉眼で見ているような表現ができるのが特徴です。
HDRのデメリット
HDRにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。
HDR非対応の機器で再生する際に異常が発生することも
HDR非対応の機器でHDRコンテンツを閲覧すると、発色に異常が出るケースがあります。そのためHDRコンテンツとして保存していた映像や画像を誰かに共有する場合、相手がHDR機能のない出力機器を利用して閲覧すると発色が変わってしまう可能性があるのです。
HDRに対応していない環境で閲覧する可能性がある場合には、HDRでのコンテンツ制作は避けた方が良いでしょう。出力機器に制約がかかる点は、HDRのデメリットです。